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求める人物像の設計のポイント

みなさんこんにちは、人材研究所代表の曽和です。

人事担当者の皆さま、求める人物像はどのように決めていますか?
今回は、求める人物像の設計をする際のポイントについてお話したいと思います。

 

求める人物像は現場のプロでも分からない

求める人物像を設計しようとするとき、たいていの場合は、現場のプロ―経営者・事業責任者・スター社員やハイパフォーマーといった方々に話を聞いて、まとめる・整理するという会社が多いです。こういった方々はそれなりの知見をもちろんお持ちですので、いいことを言ってくださるでしょう。
しかし、この方法には落とし穴があると思っております。
なぜかと言うと、プロは「自分がなぜプロであるか」ということをきちんと説明する能力が低い場合があるからです。

そもそも、プロフェッショナルという人はどういう人でしょうか。
プロフェッショナルというのは何も考えずに無意識で素晴らしいことができてしまう人のことをいいます。
スポーツ選手しかり、ビジネスパーソンしかり、音楽家しかり、自分がやっていることを意識している間というのは、まだアマチュアです。

例えば、英語がペラペラな人が英文法を意識して喋っているかと言われたらそんなことはないでしょうし、ピアニストは「自分の指がいま卵型になってるかな」ということを意識しながら弾いている訳ではありません。ビジネスのプロだって同じだと思います。
ですからプロフェッショナルになっている方というのは「自分が何をやっているのかに対して無意識である場合」が結構な確率で多いです。
もちろん、自分がやっていることに対しても、意識的に言葉にする力に長けている方も中にはいると思います。しかし、そういう人は稀有なため、現場のプロに話を聞いてまとめるというやり方は「自分はできている」けれど「言葉にはできない」人に対して無理やり聞くという状態になりかねません。
そうすると、間違ったことを教えられてしまう可能性があるのです。

 

アセスメントワードのもつ、社会的望ましさの落とし穴

特に気をつけなくてはいけないのは、人を表現する言葉「アセスメントワード」です。
「アセスメントワード」には、必ず社会的望ましさというものがついてまわります。
例えば、「好奇心が旺盛」だといったら社会的には望ましい、「明るい」「暗い」を比べた場合、何となく「暗い」というキーワードは社会的に望ましくない、などという風に思われます。
「素直」「生意気」でいうと、「素直」という言葉は社会的には望ましい気がしますが、「生意気」というと、特に日本的な社会では、ネガティブなイメージがあります。

それぞれの言葉に、必ず社会的望ましさの度合いが高い場合と低い場合があるのですが、自分のしていることに無意識なまま、求める人物像について「こういう人がいいのではないか」と言ってしまうと、社会的望ましさが高いとされる言葉を選んでしまいがちになります。

ある不動産会社で、SPI(リクルートキャリアが開発した適性検査)を使っていました。
SPIテスト結果のハイパフォーマーの分析と、採用担当者の方が考える理想的な人物像をぶつけ合ってみたのです。
そこで出てきたのが、先ほどの「素直」と「生意気」という指針です。
採用担当者側は、「うちは素直な人じゃないとだめだ」「素直な人がハイパフォーマーで、そういう人物が求められているのだ」というのですが、SPIの項目を見ると、明らかに批判性が高い人、生意気っぽい人が実はハイパフォーマーのプロフィールだったという事例があるのです。

 

「どんな人がいいですか?」ではなく、「毎日どんなことをしているのですか?」 と聞く

求める人物像を現場のプロに聞く時のポイントがあります。
それは、「意見を聞くのではなくて、やっていることを聞く」ということです。

「どんな人がいいですか?」という質問だと「意見」が出てきます。
「こういう営業マンが売れる営業マンなんだ」という、それぞれの持論が出てきてしまいます。

このため、現場のプロには「あなたは毎日どんなことをしているのですか? 」と聞くと良いと思います。
現場のプロのやっていることから、人事の担当者の求める人物像を設計する担当の方が、現場のプロの行動から抽出し、「あ、こういうことをやるには、こういう力が必要なんだな」と整理していくのがポイントです。

もう少し丁寧に行うならば、行動観察をするべきだと思います。
トップ営業マンがどんな営業をしているのかをトップ営業マンに聞くのもいいのですが、それなら同行すればいいと私は思います。
私もリクルートに最初入ったとき、人事なのに営業の方に無理言って同行させてもらって、こういうことやっているんだ、こういう人がトップ営業マンなんだというのを間近に見せていただきました。
見ているとわかることがたくさんあるので、せっかくなら意見を聞くのではなく行動を聞く、行動を聞くよりも行動を観察するとより真実に近くなります。

ただ大きい会社には色んな職種がありますし、全部同行することは難しいです。そのようなときは、準客観的に適性検査、パーソナリティテストを使うのも手です。
全社にパーソナリティテストを導入し、分析してみて、ハイパフォーマーにはこういう人が多いのだ、ということを数字でみていきます。そうして、主観とどのくらいギャップがあるかを見るのもおすすめです。

ポイントをまとめると、現場のプロから意見を聞くのではなく、現場のプロのやっている「事実」を調べましょう。
その事実を言葉で聞くのもいいのですが、さらにやっていることを見に行く、「観察」の方がより事実に近づきます。
そこまでできない場合は、適性検査とかパーソナリティテストとかで事実の検証をしていくのがいいと思います。

 

職務適正の理論のフレームワークと現場の指標を比較する

もう一つ、チェックするポイントがあります。

世の中にはさまざまな、職務適正の理論があります。
一番有名なのは、ホランドのRIASEC(リアセック)です。Realistic(現実的)、Investigative(研究的)、Artistic(芸術的)、Social(社会的)、Enterprising(企業的)、Conventional(慣習的)、この頭文字で RIASEC です。
6つのパターンに職種を分類し、こういう特徴の職種はこういう性格・能力の人が向いているといった研究をしているフレームワークです。

こういった職務適正の理論は何千何百とありますので、まずは自社に適切なフレームワークを決めます。
フレームワークに当てはめて考えると、うちの業務はこのタイプに当てはまるから、こういう性格、能力の人がいいはずだという理屈が出てきます。
それと、現場から抽出してきた求める人物像というのと比較した時に、またここにもギャップが生まれるかもしれませんので、ぜひそれも議論してほしいと思います。

理想である理論と、現場から抽出した現実とのギャップが生まれる理由は、2つあります。

1つは、まだみなさんの会社の現場がベストではない可能性があるからです。
今の自社のトッププレイヤーの要素を抽出すれば、その人個人の様子はわかります。
しかし、「もっとこういう人の方が、さらにトップで成果が出せるかもしれない」ということも考えられます。そこは理論の方が正しいかもしれないという話です。

もう1つは、現場から抽出した機能的な指標で求める人物像の方が正しい場合があるからです。
理論は最大公約数なので、理論にはない自社だけの隠れた制約条件というものが、会社ごとにあると思います。
例えば、普通の会社の営業ならこういう性格・能力の人がいいはずなんだけど、自社では営業でも売る商品がこういう特殊性があるからこんな人がほしい、という現場からの意見があったならば、現場の指標で求める人物像の方が正しいということもあります。

ただ、どちらが正しいかというと最終的にはわかりません。
こういう議論をするということが大事ですので、機能的に抽出した理論と、職務適正の理論をぶつけて比較して、そのギャップを調べるというのもより精度の高い求める人物像を作る為には大事です。
ぜひお試しください。

 

本日は「求める人物像の設計のポイント」についてお話ししました。

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